皆さん、こんにちは!
今の季節、散歩をしていると冬枯れた木々や生垣の中に、艶やかな緑の葉と鮮やかな赤い花が目にとまります。「椿」です。
椿は日本原産の常緑樹で、日本各地で見られます。古くから日本人に愛され親しまれてきた植物で、古事記や日本書紀に記述があり、万葉集にも9首が詠まれています。茶道でも茶花として重要なもので、冬の茶席には欠かせません。
椿(ツバキ)という名前の語源は、「厚葉木(アツバギ)」「艶葉木(ツヤバギ)」といわれています。いずれも肉厚で光沢のある葉の特徴が表されています。また、木偏に春という漢字も冬から春先にかけて花を咲かせる様が表現されていますよね。
英語名は学名と同じカメリア・ジャポニカ(Camellia japonica)。18世紀にゲオルク・ヨーゼフ・カメルという植物学に詳しい修道士がヨーロッパに椿を伝えました。彼の名前と日本原産ということで学名がつけられました。文字通り、椿は日本を代表する植物のひとつなのです。
私たちがよく目にするのはヤブツバキという種類です。もうひとつ、日本海側を中心に、寒さに対応した変種とも言われるユキツバキがあります。同じツバキ科の山茶花(サザンカ)もよく似た花をつけますが、童謡でもおなじみですよね。冬から春に咲く椿に対して、山茶花は晩秋から冬が花の時期。寒くなってきて「あ、椿が咲いた」と思って見ているのは山茶花かもしれません。茶の木もツバキ科でツバキに姿の似た白い花を咲かせます。
華麗な花に目が行きがちですが、木も硬く緻密で木材としても優れています。ただ建築用に使えるような大木は、現在では入手が難しくなってしまいました。椿を材料にした木炭も高品質のものです。
今も私たちの暮らしに使われているのが椿油。伊豆大島や五島列島、佐渡島などが有名な産地です。力士の鬢付け油など整髪用やシャンプー、化粧品などに使われています。
そして食用としてもオレイン酸を多く含み、加熱による変質がしにくいという特徴があります。癖がなく、揚げ物や炒め物はもちろん、ドレッシングなどにもオススメです。海外でもツバキ科の植物の種子から作ったカメリアオイルが広く使われており、ホホバオイル、オリーブオイルとともに世界3大オイルとされています。日本のヤブツバキから作られた椿油は、その代表かもしれません。皆さんの食卓にも取り入れてみませんか。
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投稿を表示ヱビスマガジン編集部さん
伊豆大島は今年3年ぶりに「椿まつり」を本格的に再開するそうです。
自分は椿というと、黒澤映画の「椿三十郎」で水に流れる椿の花が印象に残っています。